ジビエの脂の融点は何度?種類ごとの違いとおすすめメニューを解説
2025.10.08目次 ー
ジビエは調理方法によっては、脂身が口に残ってしまい、おいしく食べられないと感じる人もいるかもしれません。
ジビエをおいしく食べるには、脂の融点(ゆうてん)を理解することが大切です。融点とは、脂が溶け始める温度です。融点に合わせて調理することで、ジビエの魅力を最大限に引き出せます。
この記事ではジビエの脂の融点について、種類ごとの違いや食感への影響を分かりやすく解説します。また、それぞれの特徴を活かしたおすすめの調理法を紹介するため、ジビエの調理を楽しんでください。
ジビエの脂の融点とは
引用元:photoAC
ジビエをおいしく調理するためには、融点の基本を理解することが大切です。ここからはジビエの融点と、融点ごとの食感の違いについて解説します。
融点とは
融点とは、固体が液体に変わる温度です。例えば、氷が水に溶ける温度は0度であり、氷の融点が0度であることを示しています。
肉の脂にも融点があり、この融点の違いが、食感や風味に大きな影響を与えます。牛や豚、鶏などの家畜の脂と比べて野生の動物であるジビエは、種類によって脂の融点が大きく異なるのが特徴です。
ジビエの種類ごとの融点の違い
一般的にシカ肉の脂の融点は、イノシシ肉よりも高い傾向にあります。シカ肉の融点は、個体差もありますが40~53度程度です。一方で、豚肉とほぼ同じイノシシ肉の脂の融点は、個体によっても違いがありますが、28~32度です。イノシシ肉は、人間の体温に近い温度で溶け始めます。
この融点の違いは、シカとイノシシが食べるものや生息環境が異なるためです。シカは草食動物、イノシシは雑食動物であるため、脂肪の質が異なります。
融点の高さによる食感の違い
ジビエの脂は融点の高さによって、調理後の食感が大きく変わります。融点が高いシカ肉の脂は、加熱しても溶けにくく、口の中に残ってしまいがちです。
そのため、高温でしっかり焼いたり煮込んだりしないと脂が固まったまま残り、おいしく食べられない場合があります。
一方、融点が低いイノシシ肉の脂は人の体温でも溶けるため、口の中でとろけるような滑らかな食感が楽しめます。そのため高温で加熱しすぎずに、脂の旨みを活かした調理法が向いています。
融点が高い鹿肉を使ったメニュー
引用元:photoAC
融点が高い鹿肉は、脂が口に残りやすい特徴があります。そのため、脂をしっかり溶かすように調理するのがおすすめです。
ロースト
ローストは、鹿肉をおいしく食べるための代表的な調理法の一つです。ローストすることで、肉の中心部までじっくりと火が通り、脂がしっかりと溶けて、肉全体に旨みが広がります。
調理する際は、まずフライパンで肉の表面を焼き固めて肉汁を閉じ込めます。その後、オーブンでじっくりと時間をかけて火を通すのがポイントです。
ハーブやスパイスと一緒にローストすると、風味がよくなるでしょう。大きな塊肉を調理できるローストは、鹿肉の豊かな風味を最大限に楽しめます。
煮込み
煮込み料理も、鹿肉の脂をおいしく食べるのに適した調理法です。鹿肉を長時間煮込むことで、脂が溶け出し、肉が柔らかくなります。
例えば、赤ワインやデミグラスソースを使った煮込み料理は、鹿肉の風味とソースの旨みが一体となり、濃厚な味わいになります。また、カレーやシチューに鹿肉を使うのもおすすめです。
煮込み料理にすることで、脂の重さを感じにくくなり、肉の旨みだけを堪能できます。
融点が低い猪肉を使ったメニュー
引用元:USA GIBIER FACTORY
融点が低い猪肉は、豚肉に似た特性を持ち、口の中でとろけるような脂の甘みが特徴です。ここからは、猪肉の脂のおいしさを活かす調理法を紹介します。
ぼたん鍋
ぼたん鍋は、猪肉を食べる代表的な料理です。猪肉の断面が牡丹の花のように美しく見えることから、ぼたん鍋と呼ばれるようになりました。
ぼたん鍋は味噌や醤油ベースの甘辛い出汁で、野菜と一緒に煮込んで食べます。出汁が沸騰したら、肉を一枚ずつ丁寧に広げて入れ、脂がとろりとしたら食べ頃です。
猪肉の脂は甘みがあり、出汁に溶け出すことで、鍋全体の味がまろやかになり、深みのあるおいしさが楽しめます。
煮込み
猪肉も、鹿肉と同じように煮込み料理に向いています。長時間煮込むことで、肉はさらに柔らかくなり、脂がとろけるような食感になります。
特にトマトやハーブを使った煮込みは、猪肉の旨みを引き立て、さっぱりとした後味で食べられるでしょう。また、豚の角煮の代わりに猪肉を使うのもおすすめです。
ジビエをおいしく食べるポイント
引用元:photoAC
ジビエのおいしさを最大限に引き出すためには、調理法だけでなく、購入する段階から注意することが大切です。ここからはおいしく食べるためのポイントを見ていきましょう。
臭み抜きをされているジビエを購入する
ジビエをおいしく食べるための最初のポイントは、臭み抜きがしっかりとされているジビエを購入することです。ジビエの臭みは、処理方法や個体によって大きく変わります。
衛生管理が徹底された信頼できる専門店や、ジビエのオンラインショップで購入するようにしましょう。
ジビエを専門に取り扱う店舗では、適切な方法で血抜きや下処理が行われているため、ジビエ特有の獣臭さが少なく、初めての人でも安心して食べられます。
下処理をしっかりと行う
購入したジビエを調理する前に、下処理をしっかりと行うことも重要です。下処理をすることで、肉の臭みをさらに抑えられ、味が染み込みやすくなります。
鹿肉や猪肉は繊維を断ち切るように切ることで、柔らかい食感に仕上がります。
また肉の表面についた血をキッチンペーパーで丁寧に拭き取りましょう。もし気になる場合は、牛乳やヨーグルト、塩や麹に数時間漬け込むことで、さらに臭みが抜けます。
塊のジビエは、ねぎの青い部分や生姜の皮などのやさいくずと煮込み、茹でこぼすのもおすすめです。
中心部まで加熱する
ジビエを食べる際には、肉の中心部までしっかりと加熱することが大切です。野生の動物であるジビエには、寄生虫や食中毒の原因となる細菌が付着している可能性があります。加熱が不十分であれば、腹痛や嘔吐で苦しむかもしれません。
厚生労働省の資料によると、ジビエ肉は、中心部の温度が75度で1分以上加熱することが推奨されています。心配な方は、調理しているときにクッキング用の温度計で中心部の温度を測りましょう。
安全においしく食べるためにも、生焼けの状態は避け、しっかりと火を通してください。
衛生面に気を付けて調理する
ジビエを調理する際は、衛生面に気を付けましょう。ジビエ肉に付着している細菌が、他の食材に移ってしまうことを防ぐためです。
肉を触った後は、他の食材を触る前に手をしっかりと洗いましょう。また、肉を切ったまな板や包丁は、他の食材を切る前に洗うか、別のものを使うことがポイントです。
食中毒を防ぐためにも、ジビエ肉を扱った調理器具は熱湯消毒をしてください。
ジビエに関するよくある質問
引用元:USA GIBIER FACTORY
ジビエ初心者の方からよく聞かれる質問は以下の通りです。
- ジビエを食べる魅力は?
- ジビエの欠点とは?
- ジビエは身体に悪い?
それぞれの質問に回答します。
ジビエを食べる魅力は?
ジビエを食べる最大の魅力は、その独特の風味や味わいにあります。家畜とは異なる野性味あふれる風味は、一度食べると忘れられないでしょう。
また、ジビエは栄養価が非常に高いことも魅力です。特に、鹿肉は低カロリー・高タンパク質で、鉄分や亜鉛が豊富に含まれています。ダイエット中や筋トレ中の方、貧血予防をしたい方におすすめの食材です。
さらにジビエを食べることは、環境問題の解決にもつながります。野生動物による農作物の被害を減らすための「害獣対策」の一環として捕獲された動物を有効活用する、サステナブルな取り組みと言えます。
ジビエの欠点とは?
ジビエの欠点としては、購入できるお店が少ないことが挙げられます。スーパーなどで手軽に購入できる場所は限られており、ジビエ専門店やオンラインショップで購入するのが一般的です。
また、安全に食べるためには、徹底した衛生管理が必要になる点も知っておくべきです。信頼できる処理施設で加工されたジビエを購入し、調理の際も衛生面に気を付けましょう。
衛生面が気になるときは細かな基準をクリアした「国産ジビエ認証施設」で加工されたジビエを選ぶのがおすすめです。
ジビエは身体に悪い?
ジビエは身体に良い食材と言えます。シカ肉やイノシシ肉は、高タンパク質で低カロリー、そして貧血予防に効果的な鉄分や、新陳代謝を促す亜鉛が豊富に含まれています。
また、中性脂肪を減らすL-カルニチンや抗酸化作用のあるビタミンEなども含まれている食品です。適切な調理をされているジビエを食べれば、健康にプラスの効果を与えられるでしょう。
まとめ
引用元:USA GIBIER FACTORY
ジビエのおいしさは、脂の融点を理解することで、さらに引き出せます。融点が高い鹿肉は、ローストや煮込み料理で脂をしっかり溶かすのがポイントです。一方で、融点が低い猪肉は、ぼたん鍋などでとろけるような脂の甘みを活かす調理法が向いています。
ジビエをおいしく食べるためには、信頼できるお店で臭み抜きされたものを購入し、中心部まで加熱するなど、衛生面に気を付けて調理しましょう。
衛生面が気になる方は「国産ジビエ認証施設」で加工している宇佐ジビエファクトリーをご利用ください。宇佐ジビエファクトリーでは、精肉店ならではの技術を使って処理されたジビエをお届けしています。
ジビエ特有のクセや臭みを抑えているため、下処理をほとんどせずにおうちでも気軽に調理できる商品ばかりです。ささみ入りのソーセージといったジビエ初心者が食べやすい商品も取り扱っています。
添加物不使用の商品のみを販売しているため、アレルギーや健康面を気にかけている方でも安心です。宇佐ジビエファクトリーは鹿肉や猪肉など、さまざまなジビエ商品を取り扱っているため、お気に入りの商品が見つかるはずです。